家の定期メンテナンスで、30年後も快適な生活を手に入れる方法

「新しく家を建てたらいつまでも快適に暮らしていきたい。」
注文住宅などマイホームを計画する時には、誰もがそう考えるのではないでしょうか。
しかし実際には年を追うごとに「家」も確実に変化して、さまざまな部分に劣化や不具合が起こってきます。愛着のある我が家だからこそ、そういった経年変化とも上手に向き合いながら、大切に住み続けたいものです。
そこで今回は、住宅の30年後を見据えた定期メンテナンスと、修繕への取り組み方についてご紹介します。

 

建てっぱなしは危険!修繕を怠ると30年後、家はどうなる?

2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行される以前は、ほとんどの住宅メーカーや工務店などが、家を建てて引き渡したら終わり、つまり建てっぱなしが珍しくありませんでした。
そもそも、住宅が瓦屋根だった時代には、屋根の耐久性も高く、迫り出した軒下が外壁を守っていたので、放っておいてもあまり問題にはならなかったからです。
しかし、屋根がスレートやガルバニウムなどの素材に変わるなど、建材の耐久性や建築方法も変化した現代の住宅で、快適性を維持しながら長く暮らしていくには、建物への定期的なメンテナンスが必要不可欠になっています。

築200年を超える歴史的建造物は、当然ですが、規則正しく修繕が行なわれているからこそ、今もその姿を保っています。
では一般住宅の場合、メンテナンスをしないと、一体どうなってしまうのでしょうか?
修繕のサイクルを参考にしながら具体的に見ていきましょう。

 

5〜10年までのメンテナンス

築年数が10年以内の場合、突発の故障箇所を修繕する程度で十分です。
もしも、10年以内に屋根や外壁、床などに極端な異常が見られた場合は、施工不良の可能性もあるため、家を建てた工務店やハウスメーカーに相談しましょう。
10年以内であれば「新築住宅の10年保証」が適用される場合もあります。

新築住宅の10年保証

「新築住宅の10年保証」とは、住宅の基本構造部分について、建築会社や売主(不動産会社)などが、その物件を引き渡した時点から10年間「瑕疵担保責任」を負うことが義務付けられている制度のことです。
法律で定められた保証の制度を守るため、建築会社や売主のほとんどが瑕疵保険に加入して対応しています。

創建社Com.ie(コムイエ)の定期点検

Com.ieの場合は、お引き渡しの後、1年目・2年目・10年目に無料定期点検を実施しています。
1年点検では、設備の使い方やクリーニングなどが正しくできているかなど、住み方の確認などを中心に点検します。この時点では、ほぼメンテナンスが必要なことはありません。
2年目になると瑕疵保証の短期が切れるので、その前に、フローリングの床なりや配線・水漏れが起こっていないかなどを、しっかりと確認します。
そして瑕疵保証の切れる10年目を迎える前には、雨漏りや外壁を中心に点検を行います。

10年後メンテナンス|屋根と外壁

10年ごとにメンテナンスが必要な箇所としては、屋根塗装と外壁塗装などが挙げられます。
屋根や外壁は、建物のいちばん外側で「外気から家を守る」という役割を果たします。雨や風などの気象現象や自然災害から直接影響を受けるため、最もダメージが蓄積しやすい箇所です。
見た目の変化がそれほどなくても、耐水性が損なわれていくことによって、内側の建築資材が湿気の影響を受けて機能低下を起こしたり、白蟻の被害を招いたりすることにもなります。

10年~15年後メンテナンス|給湯器など

10年~15年で寿命が訪れるものとして、給湯器関係があります。
日常で使用する生活に欠かせない機器なので、使えなくなってしまう前に早めの交換が必要です。

15年~20年後メンテナンス|床や壁紙、キッチン

暮らし方によって差はありますが、フローリングなど床の軋み、壁紙の汚れや剥がれが目立ってきて、修繕が必要になってきます。
また、システムキッチンや水まわりなどの水栓や部品の交換も考えたい時期です。

30年後メンテナンス

ここまでのメンテナンスを定期的に行なっていたかどうかで、30年後の「家」の状態に大きな差が出てきます。
10年目、20年目にそれぞれ外壁と屋根の修繕、設備の補修や交換を行なっていれば、家の健康状態は保たれていますので、通常通りの10年ごとの屋根・外壁塗装で良いでしょう。
一方「ここまで何もしなかった」という家の場合には、雨や湿気が躯体や内壁に影響を及ぼし、家そのものの維持が困難なほど深刻になっているケースが少なくないため、修繕にはコストも時間も相応に必要となります。

 

見逃したくない戸建住宅メンテナンスのサイン

時間の経過とともに、必ずメンテナンスが必要になってくる「家」。
修繕には専門家の診断が必要ですが、ダメージが深刻になる前に必ず何かしらの変化が現れます。
そんな住宅の小さなサインに早めに気がついて対処することも、長く快適に暮らすためには大切です。
知っておきたいチェックポイントとして、次のような変化があります。

壁や天井の変色やカビの発生

施工上の不良を除いて、最も気をつけたい問題が外からの「水」の侵入です。
具体的には、雨漏りや外壁からの浸水ですが、屋根や壁の細かいヒビを自分で見つけることはなかなかできません。
ですが、もし、見えないところで雨漏りなどが発生している場合には、必ず室内の天井や壁などに黒ずみやカビなどのサインが現れるので、これを見逃さないようにしましょう。

床下収納や小屋裏のカビ臭

カビを目視できなくても、床下収納を開けるとカビの臭いが充満している、または屋根裏に常にカビ臭がしている場合には、やはり雨漏りの可能性があります。
ただ、危険な箇所もありますので、ご自分で床下に潜ったり小屋裏に登ったりせず、施工会社などに点検を依頼してください。

焦げた臭い

調理以外で、室内が焦げ臭いと感じた場合には、漏電など電気系統のトラブルの可能性があります。
火災を引き起こす原因にもなり大変危険なので、すぐに点検を依頼してください。

 

家の修繕費用っていくらかかる?建てた後のお金のこと

家を建てる時には、多くの方が住宅ローンを組むなどして資金を調達すると思いますが、暮らしていくうちにはメンテナス費用も必要になってきます。
では、実際にどのくらいの修繕費が必要なのか?その目安についてお話しします。

屋根・外壁

住宅のメンテナンス費用の中で、最も大きな割合を占める部分が、屋根や外壁の修繕費です。
一般的には耐久性の観点から10年ごとの塗り替えが基本です。
費用は施工面積や塗料によっても異なりますが、100万円〜130万円程度はかかります。

ベランダ・バルコニー

外気に晒されている箇所として、屋根や外壁と同じようにダメージを受ける箇所です。
塗り替えには7万円〜、手すりなど安全のための修繕には15万円以上かかる場合もあります。

キッチン周り

キッチンそのものの耐用年数は10年〜20年ですが、ガスコンロや換気扇など、部分的な交換が必要になってくる場合もあります。
給湯器も含めたキッチンのリフォームの場合は、100万円〜150万円程度、キッチン本体の交換の場合は200万円以上になる場合もあります。

トイレ・洗面所

トイレの便器やタンク、洗面台の一般的な寿命は10年~20年ほどです。
個別箇所の点検や、交換費用はおおむね1万円~5万円程度、便器や洗面台などの本体を交換する場合には、10万円~30万円程度となります。

浴室

浴室も劣化が顕著に出やすい場所のひとつです。
耐用年数は、屋内空間を耐水仕様にしている在来浴室で20年程度、ユニットバスなら15年程度で、浴室内のパーツや建材の個別補修だけなら、費用は5万円~15万円が目安です。
ユニットバスそのものを交換や、在来浴室をからユニットバスへ改修するには大規模な工事が必要で、100万円~250万円前後の費用が必要になります。

壁紙

壁紙は、トイレや脱衣所、キッチンなど水まわりの空間と、リビングなどの居室では汚れや劣化のスピードに差がありますが、浴室改修やトイレ改修などを行う時に壁紙も貼り替えるケースが多くなります。
壁紙は約6畳の空間で5万円〜6万円が目安ですが、機能性壁紙などを使用する場合などはこれを超える場合もあります。

フローリング張り替えの目安は、15年〜20年と言われていますが、日頃のお手入れによって張り替え時期は異なります。
全面的な張り替えには、10㎡あたり5万円~10万円程度の費用がかかりますが、部分的な汚れや傷なら、DIYで補修できる場合もあります。

 

長期的に見た家の修繕の効果

修繕はそれなりにコストもかかり、比較的大きな出費になるため、つい後回しにしてしまいがちです。
ですが長く暮らす上で、いつかは実感することになる「メンテナンスの効果」を知った上で、修繕と向き合いましょう。

修繕が家の寿命を延ばす

たとえ目に見える不具合がなかったとしても、経年とともに確実に家も衰えてきます。
突発的な故障や自然災害など即座に対応が必要な場合を除いて、それぞれ修繕には適切な時期があることはお話ししましたが、この「タイミング」が住宅本来の性能を保ち、家そのものの寿命を延ばすためには非常に重要です。
家を建てると同時に、施工した会社からアドバイスを受けるなど専門家の意見を聞いて、しっかりと修繕計画を立てておきましょう。
また、どのタイミングで修繕にいくら必要か?などを踏まえて、修繕の資金計画も含めて考えておくことが大切です。

修繕が将来の住宅価値に与える影響

例えば20年後に家を売る場合、メンテナンスをしているかどうかに関わらず、建物の価値はほとんど評価されないのが現実です。
ですが、建物付きの不動産として売りに出した時に、築20年でも綺麗に使っていてメンテナンスされている家とそうでない家では、買い手に与える印象は大きく変わります。
手放したい時に「買い手がつく物件」になるかどうかという点では、影響が出てくると言えるでしょう。

 

定期メンテナンスで差が出る、30年後の修繕にかかる費用

定期的なメンテナンスをしていれば30年後の修繕費は、約300万円〜360万円(10年ごと1回100~120万円)程度になります。
では、30年間メンテナンスを行なわなかった場合はどうでしょうか?

創建社にご相談頂いた、30年以上修繕が施されていなかった住宅(他社施工)は、室内にまで雨水が浸水し、生活に支障をきたしていました。
点検の結果、建物の劣化が著しく、安全に住み続けるためには、建て替えまたはフルリフォームが必要で、1,000万円以上の費用がかかるという結果になりました。

もちろんこれは一例ですが、経年劣化を放置して30年間何も手当しなかった場合には、定期的メンテナンスを行なっていた場合よりも、確実に家のダメージは大きく、修繕費用も高額になります。
その都度、計画的にメンテナンスを行なっていれば、家にも家計にも優しく、快適な暮らしを維持する事ができるのです。

 

まとめ

  • どんな建物にもメンテナンスは必要不可欠である。
  • 住宅を建ててから10年未満に起こる不具合は、施工不良の可能性がある。
  • 屋根や外壁の修繕は、耐久性の問題から10年ごとに行う必要がある。
  • 給湯器は10年〜15年、15年〜20年で床や壁、キッチンなどそれぞれメンテナンスのタイミングが異なる。
  • 30年何もメンテナンスをしないと住宅は深刻なダメージを受けて修繕に莫大な費用と時間がかかる。
  • 小さなメンテナンスのサインを見逃さないことで適切な修繕ができる。
  • 適切なタイミングで修繕を行えば、家の寿命は伸びる。

 

今回は、家を建てた後の「暮らし」に欠かせない修繕についてお伝えしました。
「家を建てる」ということは、人生の大きなイベントで、それなりのお金と時間がかかります。
新しい家に入居したら、住宅ローンの返済も始まり、家族の成長に伴って教育費なども必要になってくるでしょう。
これと同じように、「家」も建てて住み始めたその日から、少しずつ変化して修繕が必要な時期が訪れます。
その家にいつまで住むのか?30年後何歳になっていて、老後をどう過ごすのかなど、自分達のライフプランと擦り合わせながら、資金計画を含めて家との付き合い方を考えることは、実はとても重要なのです。

創建社で住宅を建てたお客様には、「修繕」についての考え方を必ずお伝えした上で、住宅ローンの返済とは別に、毎月1.5万円〜2万円の修繕費用の自主的な積立をお勧めしています。
予め「修繕費」と考えて貯めておけば、10年ごとの出費に備えることができますし、細かな修繕に充てることも可能です。

また創建社のCom.ieでは、耐久性の高い建材を使用して、修繕の時期が重ならないような素材や機器の選び方など、先々のメンテナンスを考えたプランを採用しています。
永く快適な暮らしをお送りいただくために、建てるだけでなく、修繕計画も視野に入れたご提案をさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。

まずは資料を見たい方は、お問い合わせフォームから。
お電話(045-593-1883)でのご相談も受け付けております。

 

▶創建社のCom.ieのアフターメンテナンスについてもっと知りたい方は、「メンテナンス」をご覧ください。

メンテナンス

創建社 代表取締役/一級建築士
小泉 充司

自宅の建て替えをきっかけに、自社オリジナルブランドの高気密高断熱住宅 Com.ie(コムイエ)を開発。自分自身がG3クラスの家に暮らすことで、その住み心地に絶対的な自信を持っています。住んでいるからこそわかる、高気密高断熱住宅の良い面も悪い面も正直にお伝えします。