高気密高断熱は横浜では必要ない?!一級建築士が解説します!


皆さんは「高気密高断熱住宅」と聞いて、どんな家を思い浮かべますか?
「なんとなく真冬でも暖かく過ごせそう」といったイメージはあるものの、一般住宅と何が違うのかを、本当の意味で理解していらっしゃる方は少ないのではないでしょうか?
中には「東京や横浜など関東エリアで、高気密高断熱は必要ない」と宣言している住宅メーカーや工務店もあり、どれが正しいのかわからないと感じている方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、実際に横浜で高気密高断熱の家「Com.ie(コムイエ)」で暮らしながら、お客様にもご提案している、株式会社創建社代表で一級建築士の小泉充司が、高気密高断熱住宅の必要性についてお話ししたいと思います。

そもそも、「高気密高断熱」の基準とは?

実は「高気密高断熱」には、絶対に満たさなければない明確な数値の基準がありません。
様々な住宅メーカーや工務店が「高気密高断熱住宅」という表現を使っていますが、基準が無いため、実際にはそれぞれの「気密性能」や「断熱性能」に違いがあります。

「高気密高断熱」としての基準は無いといいましたが、「気密性」「断熱性」については、それぞれの性能を表す数値があり、さらにその数値によって省エネ基準値も設けられています。

 

気密性の指標となる数値「C値」

C値とは「家全体で隙間がどのくらいあるか」を表した数値(相当隙間面積)の事で、数値が小さければ小さいほど、すき間が小さい=気密性が高いという事を示しています。
(相当隙間面積は、建物全体にある隙間面積(㎠)を延床面積(㎡)で割った数値)

海外ではカナダが0.9㎠×㎡、スウェーデンが0.6~0.7㎠×㎡以下など、厳しい基準を設けている国も少なくありません。

※ HEAT20 G3グレード のCom.ie(コムイエ)のC値実績は、0.1 cm²/ m²~0.35 cm²/ m²です。

 

断熱性の指標となる数値「Ua値」

Ua値とは「室内の熱がどのくらい外へ逃げやすいか」を示す数値で「外皮平均熱貫流率」の事です。
住宅の内部から基礎・外壁・屋根や開口部などを通過して、外部へ逃げる熱量を外皮(住宅の外壁・基礎・屋根・窓等)で平均した値で、値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高い事を示します。
アメリカのUa値は0.34W/㎡K、ドイツのUA値は大体0.3~0.36 W/㎡Kと、C値と同様に海外では高い基準が設けられています。
※ Com.ieでは独自の設計と工法により、住宅最高基準のG3グレード=Ua値0.26 W/㎡Kを実現しています。

もっと詳しい気密性能や断熱性能の数値については「高気密高断熱住宅の基準とは?建てる前に知っておきたいメリット・デメリット」から

 

国が推奨する省エネ基準値について

平成28年度では、Ua値0.87が国の省エネ基準値とされていましたが、現在ではG1クラス(Ua値0.56)を目指そうという動きも出てきています。
日本の住宅に求められる省エネ性能は、世界に比べてまだまだ低い値ですが、将来的にはもっと高くなり、「人と環境に優しく、長く暮らせる家」が主流になってくる可能性があると考えられます。
つまり、今から家を建てるなら、住む人が快適で家そのものの寿命を支える「精度の高い断熱性能」を選んだ方が、建て替えやリフォームよりはるかにお得であり、クオリティーの高い暮らしを長く送ることにもつがると言えます。

 

なぜ横浜などの関東エリアでは「G3グレード」は必要ないと言われるのか

「冬暖かい」ことで知られている高気密高断熱住宅。
寒い季節に「快適に過ごせる」というのが最大の特徴ですが、年間でもっとも気温が低いとされる2月でも、東京や横浜の最低気温は2℃程度で、雪が積もることも滅多にありません。
暖房器具などを使用すれば、ある程度暖かさは確保できる為、「わざわざコストをかけて高気密高断熱を採用する必要はない」という考え方は、住むお客様、そして施工する側にもあります。
特に住宅最高基準のHEAT20「G3グレード」ですと、さらにそこまでの高気密高断熱は必要ないと捉えられてしまうのです。
しかし、実際に「必要ない」と言い切っているケースのほとんどは、高気密高断熱住宅の持つ本当の性能や将来性について、検証していないのかも知れません。

私が、12年ほど前に初めて北海道の高気密高断熱住宅を見学した際にも、同じでした。
確かに、外気の低さとはうらはらに、玄関に入った瞬間から暖かく、床もポカポカな高気密高断熱の住宅性能に驚きはしましたが、比較的温暖な関東エリアには関係のない住宅だと、当時は思っていたのです。

 

「必要なし」から「必要あり」へ、改めて高気密高断熱の家を考える

高気密高断熱の快適性を認知しながらも、他の住宅会社と同じように、半ば必要ないと感じていた私でしたが、横浜市内の自邸建て替えの際に、再び「北海道の家」を思い出すことになります。

デザイン性、性能など、あらゆる角度から検討して、『とにかく寒い家と暑い家だけは嫌』という、妻の希望を最優先に叶えるにはどうしたら良いか考えましたが、1年中家の中の温度を快適に保つ事は難しいと感じました。
あれこれ悩んでいる時、ふと北海道の高気密高断熱住宅で体感した快適さが蘇って来て、これだ!と思い、工法や性能をあらゆる角度から研究したのです。
高気密高断熱のメリットを知るほどに、「本当にいい家」には必要不可欠だと実感し、自邸をモデルに、とことん高性能を追求して、日本一の家を目指してみることにしました。

玄関を入った瞬間から暖かい(涼しい)Com.ie

 

こうして生まれたのが、創建社の「Com.ie(コムイエ)」です。
横浜に建つ、高気密高断熱G3クラスのCom.ie(自邸)は、住宅性能を重視するお客様に、四季を通じてその「快適性」を実感していただけるモデルハウスにもなりました。
実際に、高気密高断熱の家に住むことで、「もう普通の家には住めない」と感じるほど、人も家も健康的な暮らしを実践しています。

高気密高断熱G3クラスのCom.ie (自邸&ショールーム)の内装デザインは施工事例「高気密高断熱の家 Com.ie 」をご覧ください。

 

関東エリアで高気密高断熱の家を建てるメリット

極寒の地域でなくても、高気密高断熱の家を建てるメリットは数多くあります。
もちろん、最初にご説明したように、メーカーによって高気密高断熱住宅の基準が異なるため、全て同じではありませんが、ここでは、創建社がご提案している「G3クラスのCom.ie」をベースにお話ししていきます。

 

冬暖かく室内の温度が1年中適温に

外気の影響を受けにくい高気密高断熱の家では、ビルトインエアコンを1台設置するだけで、室内どこにいても同じ温度で、快適に過ごせます。
居室だけではなく、トイレや洗面室、浴室、小屋裏まで同じ温度ですから、冬のヒートショック(急激な温度の変化がもたらす体へのダメージ)による事故も防ぐことができます。

寒い朝、温かい布団から出て、冷え切った廊下を震えながら通って、リビングの暖房を急いで入れる。そんな冬の定番のような光景も、高気密高断熱住宅での暮らしにはありません。

雪の日でも高気密高断熱の家の中で薄着で過ごす小泉社長
雪の日でも薄手の寝間着ですごしています

 

猛暑日の続く関東の夏も快適に

関東エリアでは、冬の寒さ以上に深刻なのが「暑さ」対策。
床下から小屋裏まで、24時間365日同じ温度を保てる高気密高断熱住宅は、「冬、どこにいても温かい」と同じように「夏、どこにいても涼しい」ことも大きなメリットです。

リビングは冷房で寒いくらいなのに、トイレはサウナのようで汗だく!といった経験はありませんか?
私も以前の家では、そうでした。
熱帯夜で寝苦しい夜に、エアコンのタイマーが切れて目が覚める事も当たり前でした。
Com.ieに暮らすようになって、室内で汗だくになることも無くなりましたし、室内どこでも常に快適な温度なので、エアコンを付けたり消したりする必要もなく、夜ぐっすり眠れるようになりました。

地球温暖化による猛暑日の連続、熱中症多発問題は大きく報道されています。
この数十年のデータを見ると、1990年以降、横浜でも猛暑日が増えていることがわかります。
一般的な建物では、夜でも建物に熱が残り続けるため、熱帯夜となり、夏の寝苦しさをひときわ強く感じます。ですが、夏の熱気を遮断し、効率よく室温をコントロールできる高気密高断熱住宅なら、このまま猛暑が続いたとしても、安定した室内環境を維持することができるのです。

 

大都市における猛暑日日数の長期変化傾向

1897年~2020年までの横浜の年間猛暑日日数の推移表
出典:気象庁ホームページ

 

花粉やほこりの侵入を防いでクリーンな室内に

関東エリアで深刻な健康問題に、花粉の飛散があります。
第一種換気扇による24時間換気が可能な高気密高断熱の家では、窓を開放することなく強制的に換気が行われています。ヨーロッパ規格(EU7)の高性能フィルターによって、花粉やほこり・ PM2.5の侵入も防ぐので、室内の空気を常に綺麗に保つことができます。
これによって、花粉・アレルギーやシックハウスによる症状が起こりにくい環境を維持します。

第一種換気扇と花粉・砂埃・PM2.5・害虫の侵入を防ぐ高性能フィルター

湿気の侵入を防いで「人」も「家」も健康に

高気密高断熱の家には、湿気の侵入を防ぎつつ、上手にコントロールするという特徴があります。
湿気を室内に入れにくく、外壁と内壁のW断熱によって壁内結露も防ぐことで、人の健康や建物の耐久性に悪影響を及ぼす「カビ」の発生を抑えます。

 

騒音の侵入を防いで市街地でも静かな生活を

高気密高断熱住宅は、遮音性・静音性にも優れているため、室内外の音の漏れや侵入を防ぎます
比較的住宅が密集しているエリア、道路に面した土地、学校や商業施設に隣接した場所などでも、プライバシーを守って静かに暮らせます。

 

 

せっかく家を建てるなら「性能のいい家」にしたい!という方に支持されているCom.ieでは、長く健康で豊かに暮らせる家づくりを目指して、最適で最高クラスの高気密高断熱をご提案しています。
ただ単にハイクラスなのではなく、ひとつひとつのスペックに理由があり、それが全て住む方の快適性につながっているため、オーバースペックになることはありません。

▶Heat20 G3 グレードの家に暮らす方の生の声を聞きたい方は、高気密高断熱Com.ieに1年間暮らしてをご覧ください。

 

まとめ

・高気密高断熱には、絶対に満たさなければない明確な数値の基準ない。
・住宅メーカーや工務店が示す「高気密高断熱」にはそれぞれ性能に違いがある。
・気密性はC値、断熱性はUa値で表され、Ua値によって省エネ基準が示されている。
・高気密高断熱によって、1年中室内の全てを快適な室温で保つことができる。
・高気密高断熱は、冬の寒さだけではなく、夏の暑さもコントロールする。
・高気密高断熱の家は、花粉やほこりの侵入も防いで、アレルギー等を発生しにくくする。
・W断熱の高気密高断熱なら、湿気の侵入だけでなく壁内結露も防いで、カビの発生も抑える。
・高気密高断熱住宅は、遮音性・静音性に優れているため、市街地でもプライバシーが守れる。

高気密高断熱について、改めて解説してきましたが、そのメリットは決して北国だけのものではないことはおわかりいただけたでしょうか?
様々なライフスタイルの人が暮らす横浜、関東エリア。温暖化の影響による夏の暑さ問題や、省エネへの課題も多い時代だからこそ、ストレスフリーな暮らしを送ることに価値があるのではないでしょうか?
実際に、Com.ieの快適性を確かめてみたい方は、お気軽にご相談ください。

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