「窓」で高気密高断熱住宅の性能は決まる!窓の素材と選び方


高気密高断熱の家では、「窓」が性能を左右するほど重要だと言われています。
室内と室外の接点である窓には、光を室内にとり入れたり、良い眺めをつくったり、防音や防犯など、いくつもの役割があります。
そこで今回は、高気密高断熱住宅における窓の重要性、窓の選び方などをご紹介します。

窓選びが高断熱性能を左右する

高気密高断熱住宅とは、断熱材などを採用し「高い断熱性と気密性」を実現した、外気の影響を受けにくい家です。
ところが、どんなに性能の高い断熱材を使ったり、気密性を高めたりしても、窓によって室内の温度や湿度が大きく変化してしまう場合があります。
ここでは、高気密高断熱住宅と窓の関係を見ていきましょう。

気密高断熱住宅ではなぜ「窓」が重要なのか


高気密高断熱住宅で、外気の影響を受ける原因となる部分が「窓」です。
せっかく高気密高断熱の家を建てても、窓やアルミサッシが熱を伝えてしまえば、室内の温度を快適に保つという性能は大きく低下してしまいます。
また、窓が外気の影響を受けて室温と温度差がおきることで、窓ガラスやサッシの表面に結露が生じることになり、カビの生え易い環境を作ってしまうだけでなく、家そのものを劣化させる原因にもなります。
20年ほど前と比べると、窓ガラスやサッシの性能は良くなっていますが、その中でもいくつかの選択肢があり、特に高気密高断熱住宅では、外気の影響を受けにくい「断熱窓」を選ぶ必要があるのです。

補助金制度で国も「断熱窓」を推奨

「断熱窓」とは、外気の影響を受けにくく断熱性の高い窓を指します。
住宅における熱損失が大きい「窓」の断熱性能を高めることが、冷暖房費負担の軽減やCO2排出量削減につながるとの見解から、環境省・経済産業省等が連携し、住宅省エネ2023キャンペーンの一環として「先進的窓リノベ事業」がスタートしました。
国がこの事業に、令和4年度補正予算で1,000億円を投じていることからも、窓の断熱性能に関する優先度が高い事がわかります。

進的窓リノベ事業は、既存住宅における窓の高断熱化を促進するため、改修に係る費用の一部を補助することで、エネルギー価格高騰への対応(冷暖房費負担の軽減)や、2030年度の家庭部門からのCO2排出量約7割削減(2013年度比)への貢献、2050年ストック平均でZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保への貢献を目的とする事業です。
環境省・経済産業省「先進的窓リノベ事業のサイト」より

高性能窓の違いはサッシの素材にあり

「窓」は、サッシとガラスで構成されています。
特に、サッシの素材によって窓の性能は大きく異なります。
ここでは、サッシの素材と特徴についてご紹介します。

アルミサッシ


既存の住宅や建物で、皆さんが多く目にするのは、アルミサッシの窓でしょう。
アルミサッシは軽量で加工性も良く、耐火性や耐久性などの点で優れているため、建築業界でのシェアも高く、数多くの窓に使われてきました。
建築基準法で防火戸が必要とされている地域では、防火試験を通っている「樹脂サッシ」の種類が少いため、今でもアルミサッシが多く使われています。
汎用性の高いアルミサッシですが、アルミはガラスより熱を伝えやすく、さらに樹脂よりも約1,000倍も熱を伝えやすいなど、断熱性が低く、結露しやすいというデメリットを持っています。
外気が低い冬に、窓ガラスとサッシを触り比べてみると、サッシが極端に冷たい事がわかります。
例えば、暖房の効いた部屋で、窓はしっかり閉まっているのにアルミサッシの窓際が寒い、といった経験はありませんか?これも、断熱性能の低さからくるものです。

樹脂サッシ


樹脂サッシとは、塩化ビニル樹脂(PVC)から成型されたサッシで、熱伝導率がアルミの1/1000程度、熱損失率は1/3と、熱を伝えにくく失いにくいことが特徴です。
熱を伝えにくいだけではなく、枠やガラスフレームを複雑な構造にして空気の部屋をつくることで、さらに高い断熱性能を発揮します。
断熱性能が高いことで、結露も発生しにくいこと、樹脂による防音効果も期待できます。
アルミサッシに比べて耐久性では劣る点、価格が高い点などがデメリットとして挙げられます。

樹脂サッシと複層ガラス窓の組み合わせによる窓を「樹脂サッシ窓」と言います。
樹脂サッシ窓は、省エネ推進国であるドイツが発祥で、断熱性・気密性に優れた断熱窓です。
北欧・北米など寒さの厳しい環境の国で採用されていて、日本では北海道の約90%が樹脂サッシ窓を使っています。

断熱性に優れ、バリエーションも豊富な樹脂サッシは、高気密高断熱の家に適した断熱サッシです。

木製サッシ


木製サッシとは、文字通り木でできたサッシで、樹脂サッシより断熱性が高く、結露が発生しにくいことが特徴で、気密性能、遮音性能にも優れています。
防火性についても、建築基準法で定められた防火認定を受けた木製サッシであれば、安心して使用できます。
木製サッシは、窓のサイズ、塗装、形も、自由自在にデザインが可能で、大開口の窓や、インテリアに馴染む質感も魅力です。

樹脂サッシ以上に価格が高い点、メンテナンスが必要な点がデメリットではありますが、機能性とデザイン性を兼ね備えた木製サッシは、高気密高断熱の家に最適な断熱サッシです。

窓ガラスの種類と断熱性能

窓ガラスは主に単板ガラスと、複層ガラスに分類されます。
その名の通り、ガラス1枚のものと、複数枚を層にしたガラスです。
ガラスが複層になることで、外気温からの影響を受けにくくなります。

実際に、単板ガラスの外窓(出窓)と複層ガラスの内窓で、温度の違いを実際に比べてみると、外気が0℃の時、外窓(出窓)と内窓の間が3℃、複層ガラスの内窓を挟んで室内は14℃という結果でした(創建社 旧小泉社長邸での実証実験による)。

また、窓ガラスそれぞれの断熱性能を知る上で、知っておきたい基準に「熱貫流率」があります。
熱貫流率とは、材料自体の熱の伝えやすさ、材料の厚さで、熱の伝わりやすさを表した値のことで、この数値が小さいほど断熱性能が良いことになります。

単板ガラス


基準になる単層のガラス(板ガラス)を、単板ガラスと呼びます。
加工がしやすく価格も安いことから、アルミサッシと共に、2000年頃まで多くの新築住宅(戸建住宅、マンション、アパート等)の窓に使用されていたガラスです。

単板ガラスは、熱貫流率が複層ガラスの4倍以上であると言われており、断熱性が低いことが最大のデメリットです。
熱が伝わりやすく、熱損失も大きいので、冬は暖房で得た温かさが窓ガラスから逃げていき、夏は窓ガラスから外の熱が入ってきて冷房が効きにくくなるといった現象が起こります。
室内の快適性が損なわれるだけでなく、冷暖房にかかる光熱費も高くなってしまいます。

複層ガラス


複層ガラスとは、複数枚のガラスから構成され、ガラスとガラスの間に空間(中空層)を設け、乾燥空気を封入したガラスです。
水分を含まない乾燥した空気は、結露を防ぐと共に、熱が伝わりにくい性質があり、熱が伝わりやすい単板ガラスと比べて高い断熱性能を持ち、冷暖房効率も良く、省エネ効果を発揮します。

複層ガラスは、省エネへの関心が高まりを見せた2000年以降、新築住宅への普及が急速に進みました。
よく「ペアガラス」と聞きますが、ペアガラスはAGC(旭ガラス)の登録商標で、NSG(日本板ガラス)の場合はペアマルチなど、製品名が異なります。
また、この空間(中空層)へ、空気より熱伝導率の低いアルゴンガスを封入したもの、熱の移動を防ぐため二枚のガラスの間を真空にしたもの、またトリプルガラスなどもあります。

実際に木製サッシ+複層ガラスを採用した、真冬でも外気の影響を受けず半袖で過ごせるCom.ieの暮らしは、ブログCom.ieに暮らして「雪が降った次の日の朝」からご覧いただけます。

まとめ

  • 高気密高断熱住宅で「窓」は外気の影響を受ける大きな原因となる
  • 高気密高断熱住宅では、外気の影響を受けにくい「断熱窓」を選ぶ必要がある。
  • 住宅における熱損失が大きい「窓」の断熱性能を高めることが、冷暖房費負担の軽減やCO2排出量削減につながる。
  • アルミサッシは、熱を伝えやすく断熱性が低いため、熱の損失も大きい。
  • 樹脂サッシは、熱伝導率がアルミの1/1000程度で、断熱性に優れている。
  • 木製サッシは、樹脂サッシより断熱性が高く、気密性能、遮音性能に優れている。
  • 単板ガラスは、断熱性が低く、熱が伝わりやすいため熱損失が大きい。
  • 複層ガラスは、複数のガラスの間に乾燥空気を封入した空間があり、断熱性能に優れている。

住宅において必要不可欠な「窓」は、気密性や断熱性能にも大きな関わりがあることがわかりました。
特に、高気密高断熱住宅の性能を最大限に発揮するためには、樹脂サッシや木製サッシ、複層ガラスを選ぶ必要があります。
高気密高断熱住宅の「Com.ie」をご提案する創建社では、性能を重視した断熱サッシ、断熱ガラスによる断熱窓をご提案しています。

 

▶もっと高気密高断熱の家について知りたい方は、「高気密高断熱住宅の基準とは?建てる前に知っておきたいメリット・デメリット」をご覧ください。

▶また、 Heat20 G3 グレードの家に暮らす方の生の声を聞きたい方は、高気密高断熱Com.ieに1年間暮らしてをご覧ください。

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